排水桝(ます)を自分で掃除する方法|清掃手順をプロが徹底解説!
- 最近、家全体で排水の流れが悪い
- 水を流すと排水管からゴポゴポ異音がする
- 敷地内にある排水桝周辺から嫌な臭いがする
- 最近、いつも排水桝の周りに汚物のような物が散乱している
このような症状がある場合、排水桝に汚れが溜まっているかも?
『この記事では、排水桝清掃のやり方をプロが徹底解説していきます。』
(投稿:2021/11/03)
(追記:2022/03/29)
(追記:2022/12/08)
目次
排水桝(はいすいます)とは?
そもそも、排水桝ってなに?と思う方も沢山いらっしゃるかと思います。
排水桝とは?
排水桝(はいすいます)とは、排水管の合流部などに設けることのある、固形物(ゴミ)が廃液と一緒に流れ込まないようにするために設置される設備である。これによって排水管が詰まることを防止する。材質はコンクリート製や塩化ビニル製のものが見られ、中にはステンレス製のものや、強化プラスチック製のものも見られる。設置する場所や用途によって形状や材質は様々であり、それぞれの場所に合わせて適切なものが選択される。
引用元:Wikipedia
簡単に言うと、排水桝は排水管が詰まる事を防止する役割を持っている設備。
排水管内に汚れなどが詰まってしまったら、排水管の中を掃除すれば良いんじゃない?と思いますよね。
しかし、基本的に排水管は地中や壁の中などに埋設されている事がほとんど。
排水管の中を直接掃除するとなると、排水管を掘り起こさないといけなくなります。
そうなると、時間も、手間も、費用もかかってしまうため、排水桝を設置しトラブルに対処できるようになっているんですよ。
『排水管詰まりを防止するだけではなく、点検・掃除をしやすくするための設備でもあります。』
排水桝の種類
排水桝は、種類や用途別に複数設置されていて、”排水桝”という呼称は全ての桝の総称になります。
各桝の設置方法などは、自治体によってルールが定められてる事がほとんど。
排水桝の種類は、大きく別けると以下の3つです。
汚水桝
トイレ、キッチン、お風呂、洗面、の排水が流れていく桝。
水以外の汚れや異物が沈殿する構造になっていて、インバート桝とも呼ばれます。
雨水桝
雨が降った時に、雨樋から流れてくる雨水を溜める桝。
雨水桝の種類は、雨水を地面に浸透させて処理する浸透式と、汚水桝と同様排水管に繋ぎ下水処理をする非浸透式の2種類。
雨水の処理方法は自治体によって異なりますが、浸透式雨水桝は地面に雨水を浸透させるため、雨が降った時に道路の側溝に放流する雨水を減らすというメリットがあります。
公共桝(最終桝)
汚水桝や雨水桝を通って来た、全ての生活排水が合流する桝。
公共桝で合流した排水は、下水道本管へと流れていきます。
公共桝の管理は、市の管轄です。
『一般的な大きさの戸建てには、4〜8個前後の排水桝が設置されています。』
排水桝(汚水桝)を掃除しないとどうなる?
分譲住宅や賃貸にお住まいの方は、管理会社などの管轄になっている事が多いため、排水桝の掃除をした事が無いという方がほとんどかと思います。
戸建ての持ち家にお住まいの場合、排水桝は自分で掃除をする必要があります。
しかし、排水桝の掃除をする事自体をご存知ない方や、掃除の必要性を知っていてもやり方が分からず放置してしまう方が少なくありません。
排水桝には生活用水の全てが流れていくため、その中には汚物を始め、油汚れ、皮脂、ホコリ、洗剤のカス、洋服の繊維、髪の毛、など様々な物が付着。
経年とともに、どんどん汚れが蓄積されていき、最終的に汚れでパンパンになり詰まりが発生してしまいます。
また、キッチンから流した水が流れていく排水桝に、食べ物のカスや油などが留まると内部で固まり腐敗。
特に気温が下がる季節になると、こちらの画像のように排水桝内で油が固まりやすくなり詰まりの原因となってしまいます。
食べ物のカスが腐敗すると、嫌な臭いが家屋の方にまで立ち上ってきてしまう事も。
さらに、害虫・害獣の餌になってしまうため、ゴキブリやネズミなどが棲み着いてしまう事も少なくありません。
ボウフラも発生しやすいため、『うちは蚊が多いな〜。』なんて思っているご家庭は、排水桝が原因になっている可能性アリです。
また、排水桝周辺に植樹しているご家庭では、排水桝内に木の根が侵入してしまう事も。
排水桝や排水管内に木の根がぎっしり詰まってしまうと、排水詰まりを引き起こすだけではなく、排水管内で木の根がどんどん成長していき、最終的に排水管交換の大掛かりな工事を行わなければいけないケースもあるため要注意⚠
木の根が侵入している事に気付いたら、早めに対処しましょう。
『どんな所でも清潔に保っておかないと臭いや虫が発生しますよね。それは排水桝も同じなんですよ。』
準備|清掃に必要な物
スムーズに排水桝の掃除をするため、掃除に必要な物を準備しておくのがオススメ。
掃除をする時に、”あると便利な物”をご紹介していきますので、参考にしていただけると嬉しいです。
・マイナスドライバー
・ゴミ袋
・新聞紙、ザル、排水口ネットなど
・ゴム手袋
・柄杓、スコップ、火ばさみなど
・スポンジ、たわし、ブラシなど
・台所用洗剤など
・散水ホース、高圧洗浄機(あれば)
・汚れても良い服
・マスク
・カッパ
以上の物を揃えておくと、万全の態勢で掃除を行えます。
『ご自宅の排水桝を確認してみて、必要そうな物を揃えておくと良いですよ。』
排水桝はどこにある?
排水桝の掃除をするにあたって、まずは排水桝がどこに設置されているのかを確認しましょう。
基本的に全ての排水桝は、ご自宅の敷地内に設置されています。
トイレの汚水桝は、トイレ裏手あたりに。
キッチンの排水桝は、キッチン裏手あたりに設置されている事が多いかと思います。
また、排水桝の上に薄く土を被せてあり埋設して隠されていたり、景観を損なわないためにバルコニーの下に設置されている事も。
各桝の蓋には、”おすい”や”雨水”と表記されている事がほとんどです。
トイレ、キッチン、浴室など、それぞれに桝が設けてあります。
『目で見て探しきれない時は、ご自宅の図面で確認してみてくださいね。』
手順|自分で排水桝を掃除するやり方
排水桝を見つけたら、いよいよ掃除を行っていきます。
排水桝清掃の手順
1:全ての桝のフタをあける
2:キッチンなどから水を流してみる
3:排水桝に溜まっている汚れをすくう
4:散水ホースなどで内部を洗浄
5:スポンジやブラシなどで洗う
1:全ての桝のフタを開ける
蓋上部にある凹み部分にマイナスドライバーを差し込むなどして、テコの原理で開けます。(固着して固くなっている場合があります。)
この時に全ての桝のフタを開けておいてください。
こちらの動画のように開ければOKです。
2:キッチンなどから水を流してみる
キッチンなどから水を流してみて、排水桝をチェックして水の流れを確認します。
水の流れを確認できたら、1番上流側にある排水桝から清掃を行っていきましょう。
3:排水桝に溜まっている汚れをすくう
排水桝に溜まっている汚れをすくい取っていきます。
キッチンの汚水桝は油汚れが白い塊になっている事が多いので、火ばさみや柄杓などですくって、いらないザルや排水口用ネット、に入れるなどして水を切ってからビニール袋に入れてください。
(新聞紙の上に一時的に置いて水分を切っても良いですよ。)
この時に排水桝内からすくい取るのは、油の塊や落ち葉など固形の物。
ヘドロ状になっている汚れや汚物などは、洗い流すのでそのままでOKです。
エルボの外し方
排水桝上部に溜まった汚れを取り除いたあとは、エルボがある場合はエルボを撤去。
画像の物がエルボで、名前の通り肘のように曲がった形をしたパイプです。
エルボが外れないようであれば強引には外さず、次の工程に進んでください。
エルボが外れたら、排水桝底部に沈殿している汚れもすくい取ってゴミ袋に捨てます。
汚れは水分を含んでいるため、ゴミ袋の中に新聞紙を入れてから汚れの塊を入れると、水分を吸ってくれるためオススメです。
エルボの外し方は、こちらの動画を参考になさってください↓
4:散水ホースなどで内部を洗浄
散水ホース(あれば高圧洗浄機)で上流側にある桝から洗浄していきます。
汚れを水圧でこそぎ落とす感覚で洗浄していくと、綺麗になるかと思います。
排水管側を強い水圧で洗浄すると、家屋内の排水口に逆噴射してしまう事がありますので、様子を見ながら行ってください。
この段階で汚れが綺麗になった場合は、ここで終了してOKです。
5:スポンジやブラシなどで洗う
汚れが酷い場合は、スポンジやブラシなどに食器用洗剤などを付けて汚れている部分をこすり洗いしてください。
汚れが綺麗になったらエルボを元に戻し、フタをして終了です。
『お風呂に入る前のタイミングで掃除をするのがオススメですよ。』
掃除をする際の注意点
排水桝の掃除を行う際は汚水などが飛んでくる可能性がありますので、汚れても良い服装かカッパを着用してから行ってください。
汚水には大腸菌や雑菌など様々な菌が含まれていて、素手で作業を行うと破傷風になる恐れも…
そのため、ビニール手袋やゴム手袋を必ず着用しましょう。
また、排水桝からは状態によってはかなり強烈な臭いがするため、マスク着用がオススメです。
『あまり神経質になる必要はありませんが、手に傷がある時などはご注意ください。』
注意点|自分でやるメンテナンス頻度
『排水桝の掃除って、どのくらいの頻度でやれば良いの?』と思いますよね。
排水桝の清掃は、半年〜1年に1回の頻度で行うのが理想的。
長年お手入れをせず放置していると、その分汚れが酷くなるためお掃除が大変になります。
逆に、こまめに掃除をしておけば、半年〜1年に1回散水ホースで洗うだけで汚れを落とす事も可能で楽ちんです。
『梅雨明け後や大掃除の時など、タイミングを決めておくのがオススメ。』
3〜5年に一度は業者によるメンテナンスを
半年〜1年に1回は自分で掃除を行っていても、排水管の中を自分で掃除するのはどうしても限界があるため、定期的に業者による高圧洗浄を受けるのがオススメです。
ご自宅が新築の場合は、7〜8年後に高圧洗浄を行うのがベスト。
築10年を超えているご自宅は、3〜5年に1回の頻度で高圧洗浄を受けておくと安心です。
また、排水桝に木の根が侵入した場合は、少しでも残っていると再び根っこが成長してくるため、早急に業者に除去を依頼しましょう。
『ご自身で掃除をするのが難しい方は年数に関係なく、業者にご相談ください。』
まとめ
排水桝に汚れが溜まってしまうと、詰まり、悪臭、害虫が発生するなど、良いことが1つもありません。
手順を文字だけで見ると、大変そう!と思ってしまうかもしれませんが、やってみれば大した事ないですよ♪
家屋内で詰まりが発生してしまう前に、排水桝のお掃除をしてみてはいかがでしょうか?
この記事を参考にしていただけると幸いです。