グリーストラップとは?|構造や清掃頻度&清掃方法をプロが徹底解説!

飲食店で働いている方は、日々グリーストラップのお手入れをされている方も多いかと思います。

・コストを抑えるために、なるべく自分達で掃除をしたい

・正しい掃除方法がよく分からない

というあなたに向けて…

 

 

『この記事は、清掃方法なども含めグリーストラップについてまとめました。』

グリーストラップとは?

そもそも、グリーストラップ(グリストラップ)って何?と、ご存知ない方も少なくないかと思います。

グリーストラップ

グリース・トラップ(Grease trap、GT)とは、下水道に直接食用油や食物の脂肪、残飯や下処理の際の野菜くずなどが流出することを防ぐ阻集器の一種である。グリーストラップは定期的に清掃する必要がある。

引用元:Wikipedia

ホテルや飲食店などの調理場で、大量に流される食べ物のカスや油汚れなどが下水道に流れ込まないよう、一時的に集めておいてくれるのがグリーストラップです。

グリース(油脂)・トラップ(せき止める)という意味があります。

あくまで生ゴミや油脂汚れを一時的に集めておくだけですので、上記にも記載されているよう定期清掃が必須。

グリーストラップは【油脂分離阻集器】で飲食店など業務用厨房への設置が、法的に義務付けられています。

四 阻集器

イ 汚水が油脂、ガソリン、土砂その他排水のための配管設備の機能を著しく妨げ、又は排水のための配管設備を損傷するおそれがある物を含む場合においては、有効な位置に阻集器を設けること。

引用元:建設省告示第1597号

 

 

『グリーストラップは屋内に設置されている物と、屋外に設置されている物があります。』

グリーストラップの構造

グリーストラップの構造は、3槽構造になっているものが一般的です。

グリーストラップの構造

第1槽

厨房排水に混ざっている残飯や野菜のカスなど、大きなゴミをバスケット部分で除去。

細かいゴミなどは底部分に沈殿させ、流れていかないようになっています。

第2槽

第2槽で、水分と油分を分離させます。

分離した油脂分は、水面に浮上。

第3槽

さらに油脂分と水分を分離させて、ゴミや油脂分が除去された水が下水道へと流されていきます。

 

 

『3つの槽は、それぞれスライド板によって仕切られています。』

グリーストラップを掃除しないとどうなる?

先述した通り、グリーストラップの定期清掃は必須。

掃除を怠ってしまった場合、どうなるのか?をこの章ではご紹介していきます。

排水つまり

バスケット部分に溜まった生ゴミや残飯などを、掃除をせずに放置しておくと正常に排水が行われなくなり詰まりが発生してしまいます。

状態が悪化してくると、排水が逆流してきてしまうケースも。

悪臭・異臭発生

グリーストラップに溜まった生ゴミなどを長期間放置していると、当然内部で生ゴミなどが腐敗していきます。

その結果、悪臭や異臭発生へと繋がってしまい、ひどいケースでは店内だけではなく近隣住民から苦情が出てしまう事もあります。

また、嫌な臭いが発生すると不衛生なイメージを持たれてしまう恐れも。

害虫・害獣発生

グリーストラップを不衛生な状態にしておくと、害虫・害獣発生にも繋がります。

・ゴキブリ

・ネズミ

・チョウバエ

・蚊

などなど。

環境汚染

汚れが除去されていない状態の排水が下水道に流されてしまうと、河川や海にまで流出し環境汚染の原因となってしまいます。

食中毒のリスクが高くなる

グリーストラップ内にゴキブリやネズミが繁殖し住み着いてしまうと、餌や新たな住処を求め厨房内を害虫・害獣が徘徊。

厨房内に細菌、ウイルス、を撒き散らすだけではなく、食材に糞などが混入する恐れもあり食中毒のリスクがかなり高くなってしまいます。

損害賠償を求められる

店舗が雑居ビルや商業施設内に入っている場合、グリーストラップの清掃不足が原因で排水管が破損してしまったり、排水が逆流し溢れ他店舗に被害を与えてしまうケースも。

階下にあるテナントにまで排水が漏れてしまうと、さらに被害が大きくなり損害賠償を求められてしまう場合もあるため要注意。

 

 

『排水がつまってしまうと営業にも支障が出てしまうため、グリーストラップの掃除は必ず行いましょう。』

清掃頻度と清掃方法

グリーストラップを定期的に清掃した方が良いという事は、ご理解いただけたかと思います。

グリーストラップの理想的な清掃頻度と、掃除の手順は以下の通りです。

バスケット

バスケットに溜まった生ゴミなどの汚れは、毎日清掃するようにしてください。

バスケットの清掃手順

1:バスケットを取り出し水気をしっかり切って処分

2:台所用洗剤や中性洗剤でバスケット、壁面、フタを洗浄

3:流水でしっかり洗い流す

油脂汚れ

第2槽の水面に浮上した油脂汚れは、1週間に1回の頻度で取り除くのが理想的。

揚げ物屋さんなど油を多く使用する店舗の場合は、毎日除去するようにしておきましょう。

油脂汚れの清掃手順

目の細かいザルなどで、油脂汚れをすくい取ります。

スカム(汚泥、沈殿物)

グリーストラップ底部分に沈殿した汚泥類は、1ヶ月に1回以上の頻度で除去するのがベスト。

沈殿物清掃の手順

柄の長い網や柄杓などを使用し、グリーストラップ底部分に沈殿している汚泥を除去します。

トラップ管

トラップ管の清掃は2〜3ヶ月に1回の頻度で行っておけばOKです。

トラップ管清掃の手順

1:トラップ管にフタがある場合はフタを外す

2:中性洗剤をつけたブラシなどで、こすり洗いする

3:しっかりと洗い流す

4:フタを元に戻す

 

 

『油を多く使用するお店の場合、汚れが溜まりやすいのでこまめに掃除をするのがお勧めです。』

注意点|ゴミは産業廃棄物として処分しよう

グリーストラップのバスケット部分に溜まる生ゴミ類は、一般廃棄物として処分してOK。

しかし、油脂汚れ、汚泥、沈殿物は産業廃棄物として処分する必要があります。

産業廃棄物を意図的に一般ごみとして処分した場合、不法投棄となり5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金を課せられる恐れがあります。

法人の代表者、代理人、使用人その他の従業員が廃棄物処理法に違反すると、刑事処分(罰則)の対象になる場合があります。罰則は以下のとおりです。
(1) 5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはこの併科(法第25条)

引用元:日本産業廃棄物処理振興センター 産廃知識 罰則

 

 

『ルールを守って、正しく処分するようにしましょう。』

汚れがひどい場合は業者に依頼

毎日バスケットのゴミをしっかり処分し、油脂汚れをすくい取って…とグリーストラップのお手入れを頑張っていても、日々の蓄積により落としきれない汚れも付着していきます。

また、繁忙期などでグリーストラップのお手入れにまで手が回らず、気付いたら手に負えないほど汚れが溜まり、排水がつまってしまった…

なんていう事も、決して珍しい事ではありません。

自分達ではどうしても汚れを取り切れない…

一度、全ての汚れを綺麗に落として欲しい!

などといった場合は、業者に清掃を依頼するのがオススメです。

 

 

『完全につまってしまう前に、早めに私達プロにご相談ください。』

まとめ

飲食店には必ず設置されているグリーストラップ。

衛生面を保つためにも、つまりなどなく快適に厨房を使用するためにも、定期的に清掃を行うようにしてくださいね。

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