深井戸ポンプ交換は自分でできる?|専門業者が解説・DIYの交換手順や費用の目安
- 井戸ポンプが壊れてしまった…
- 自分でもなんとかできないか…
- 水道屋をやっていて上司に自分で調べてと言われた…
など、色々ありますよね。
『今回は、深井戸ポンプの交換手順を解説したいと思います。』
(投稿:2019/10/10)
(追記:2021/09/13)
目次
井戸ポンプってなに?
そもそも、『井戸ポンプってなに?』と、思っている方もいらっしゃるかと思います。
井戸ポンプは、井戸から水を汲み上げるための装置で、大きく別けると手押しポンプと電動ポンプの2種類があります。
手押しポンプ
- 名前通り、ハンドル部分を手で押して井戸水を組み上げるタイプのポンプです。
- 日常的に井戸水を沢山使用する場合、女性、お子様、力の弱い方にとっては重労働になってしまう事もあります。
- 手動のため、電気代不要というメリットがあります。
手押しポンプは、手動で電気代不要な点がメリット。
現在では電動ポンプが普及し手押しポンプの数は減りましたが、今でも現役で使われているものもあります。
電動ポンプ
- 電動で井戸水を汲み上げてくれる井戸ポンプ。
- 給水管と繋ぐことで、屋内の蛇口をひねれば井戸水が吐水されるため便利。
- 停電時には、水が使用できなくなってしまうのがデメリット。
今回交換方法を紹介するのは、この電動の井戸ポンプのものです。
『メーカーによっては、手押しポンプと電動ポンプ両方の機能を持った”防災井戸ポンプ”も販売されています。』
井戸の種類
今回の記事では、”深井戸ポンプ(電動)”を交換する手順をご紹介しますが、井戸の種類は大きく別けると浅井戸と深井戸の2つがあります。
浅井戸|深さ8m未満、主に生活用水に使われる井戸
- 深さ7〜8m程度までの井戸
- 周囲の環境・天候などによって水質や水量に影響を受けやすい
- 1年を通して水温がほぼ一定
- 水質・水量が変化する事があるため飲用には不向き
浅井戸は雨などでも水質に影響が出る事があるため、トイレやお庭のお手入れなど生活用水に向いています。
深井戸|深さ8〜30m程度、飲用にも使える井戸
- 深さ8m以上の井戸
- 周囲の環境・天候などの影響を受けにくい
- 1年を通して水温が一定
- 水質・水量が安定しているので飲用向き
深井戸から汲み上げられる水は水質が安定しているため、水質検査をクリアすれば飲用水として使用できます。
多少の誤差はありますが、浅井戸も深井戸も1年を通し16〜18℃と水温が一定なので、夏は冷たく冬は温かく感じます。
注意ポイント
飲用に使用するしないに関わらず、井戸水は汚染されてしまう事もありますので、1年に1回程度水質検査を受けておくと安心です。
検査機関は、お住まいの地域の地方自治体や保健所などにお問い合わせください。
深井戸ポンプの仕組みについて、別記事でさらに詳しくご紹介しています↓
『一般的にご家庭で使用されている深井戸の深さは、20m〜30m程度のものが多いです。』
電動井戸ポンプの『容量』とは
井戸ポンプには『20L(リットル)』『40L』などの容量があります。
これは、そのポンプが1分間に汲み上げられる水の量(揚水量)の目安で、多くの井戸ポンプに『揚水量:20L/min』などと表記されています。
使用している井戸ポンプの説明書や、井戸ポンプ本体に貼られている品番シールで容量をご確認いただけます。
※井戸ポンプ本体のカバーを取り外すと、品番シールが貼られている事がほとんどです。
一般的には『同時に使う蛇口の数×10L』の容量が必要。
つまり、2つ同時に使うなら20L、4つ同時に使うなら40L前後のものが必要になります。
ご家庭の使用状況などを考慮し、井戸ポンプの容量を選ぶようにしましょう。
基本的に新しい井戸ポンプを選ぶ際、現在使用している井戸ポンプの電源・出力・揚水量などで似たものを選べば問題ありません。
『現在の井戸ポンプで水圧が物足りないと感じる事があるなら、容量が大きい物を選ぶと良いでしょう。』
深井戸ポンプ交換時の注意点
今回は、弊社が交換施工させていただいた事例を元に、深井戸ポンプ(ジェット式)の交換手順を紹介していきます。
こちらの事例は、井戸ポンプが寿命を迎えて動作不良が発生したため、修理ではなく交換となりました。
(一般的に井戸ポンプの寿命は、ジェットも含め10〜15年程度です。)
ご使用になられていたのは、National製の深井戸用給水ポンプ。
※現在National製井戸ポンプは製造終了。テラルに事業常渡されNシリーズとして販売されています。
井戸ポンプを製造販売しているメーカーは複数ありますが、深井戸用ポンプの基本的な構造は全て同じです。
深井戸ポンプに挿入されている塩ビ管は、全長20m前後で(もっと長い物もあります。)さらにパイプ内には水がたっぷり入っている事がほとんどですので、その分かなりの重さがあります。
1人で全て引き抜くのは大変な作業となりますので、最低でも2人作業で行うようにしましょう。
深井戸ポンプ交換時に必要な物
深井戸ポンプを交換するためには、以下の材料や道具が必要になります。
絶対に必要な物
- 井戸ポンプ本体一式(塩ビ管+ジェット含む)
- 塩ビ継手(エルボ含む)
- 塩ビ管用接着剤
- シールテープ
- 防食シール材
- 塩ビ管カッター
- レンチやスパナなど
- ドライバー
- 保温材
- ビニールテープ
あると便利な物
- ハンドドリル
- 電動式のレンチやドライバーなど
- 滑り止めが付いた軍手など
- 腕力と握力と気合い(井戸に入っている塩ビ管はかなりの重量があります。)
- 手伝ってくれる人(1人では難しいです。)
『工具類は電動式の物を準備しておくと、体力も時間も節約できますよ。』
手順1|古い塩ビ管とジェットを撤去していきます
井戸ポンプ本体に繋がっている塩ビ管を、塩ビ管カッターでカットし少しずつ抜いていきます。
深井戸ポンプには2本の塩ビ管が挿管してありますので、2本同時に引き抜いてください。
メモ
※作業開始前に、必ず井戸ポンプのコンセントを抜いておいてください。
塩ビ管・ジェット撤去時の注意点!
- 塩ビ管は最低でも8〜20m入っており、誤って落としてしまうと引き上げる事は不可能で、井戸そのものが使用できなくなってしまう可能性大。最悪、井戸を掘り直す事になるケースも。
- 長さもあり、水が入っている塩ビ管はかなり重く重労働。作業を開始すると後には引けない状況になるため、それなりの準備と心構えが必要です。※ハンドドリルで塩ビ管に穴を開け、水を抜きながら行うのがおすすめ。
- 井戸を掘り直す事になったら費用が高額になるため、慎重に行いましょう。
塩ビ管の最下部に取り付けてあるジェット部分まで引き抜いたら、配管撤去作業は完了です。
今回のお客様がご使用になられていた井戸ポンプに入っていた塩ビ管の長さは、約20m。
2人作業で行いましたが、かなりの体力を消耗してしまいました…笑
新しく挿管する塩ビ管も、引き抜いた塩ビ管と同じ長さが必要になります。
『引き抜いた塩ビ管の長さを、きっちり測っておくようにしてくださいね。』
手順2|新しいジェットと塩ビ管を組み差し込みます
続いて、新しい塩ビ管とジェットを井戸に挿管していきます。
こちらが、新しいジェットです。
ジェットは井戸水を吸い上げ、逆止弁によってパイプ内の水が流れ出てしまうのを防ぐ、大切な役割をしているパーツになります。
井戸ポンプ本体に適合したジェットを取り付ける必要があるため、深井戸ポンプを交換する時はジェットも同時に交換するのが基本です。
また、井戸ポンプから水が出なくなったからといって井戸ポンプ本体だけを交換しても、ジェットの逆止弁が壊れていたら水は出ません。
(水道屋でも、この常識を知らない業者が多くいますのでご注意ください。)
ジェットを、接着剤で塩ビ管としっかり接着させました。
ジェットと塩ビ管を”塩ビ管用接着剤”でしっかりと接着させたら、井戸に入れていきます。
新しいジェット・塩ビ管取り付け時の注意点
- 塩ビ管同士の接着が甘いと、井戸の中で抜けてしまい取り返しのつかない事に
- 接着が甘いと隙間から水が漏れる原因にも
- 挿管の際もパイプを落としてしまわないよう慎重に
- 塩ビ管の長さを間違えない
- 吸込管(吸い)・圧力管(送り)を間違えない ※ジェットを取り付けた方が吸込管
継手で塩ビ管を繋ぎながら、どんどん入れていきます。
塩ビ管を繋ぐ→入れるを繰り返していきます。
最初に引き抜いた塩ビ管と同じ長さ、約20mの新しい塩ビ管を入れ終わりました。
井戸フタを戻し、最後にパイプ支持金具でしっかり固定。
ジェット管を取り付けたほうが少し長くなりますので、カットして長さを合わせておきます。
『長さを合わせた後は、どちらが吸込管か分からなくならないよう印を付けたり、カット前に写真を撮るなどしておくと良いですよ。』
手順3|井戸ポンプ本体を設置し完成!
挿管が無事に済んだら、塩ビ管の中が満たされるまで水を注いで”呼び水”をしておきます。
呼び水とは?
誘い水(さそいみず)は、井戸の手押しポンプで水が出ないときやポンプで揚水するときに、水を導くために外部からポンプ内に注ぎ込み、ポンプ胴内を満たす水のこと。転じて、他の出来事が起こるきっかけとなるものを指す。「呼び水」の別名でも呼ばれる
引用元:Wikipedia
続いて、新しい井戸ポンプ本体を設置。
井戸に入れた塩ビ管と井戸ポンプ本体を、エルボという部品を使用し繋ぎます。
注意ポイント
井戸ポンプと塩ビ管接続時、吸込管と圧力管を繋ぐ方を間違えないよう説明書などを見てしっかり確認しながら行ってください。
吸込管と圧力管を逆に繋ぐと、水は汲み上げられません。
この時に、給水管と井戸ポンプ本体も繋ぎます。
接続する各パーツに防食シール材を塗布し、シールテープを巻きつけて接続。
井戸ポンプ本体と繋ぎ終わったら、説明書を見て必要に応じ井戸ポンプ本体にも呼び水をしてください。
井戸ポンプのコンセントを繋ぎ、通水テストを行って無事に水が汲み上げられたら交換作業は完了。
最後に、塩ビ管部分に保温材を巻きビニールテープで保護してください。
『塩ビ管は紫外線に非常に弱い性質です。また、凍結を防ぐためにも保温材はしっかり巻いてくださいね。』
DIYで交換にかかる費用とメリットデメリット
DIYで井戸ポンプを交換する最大のメリットは、《費用を抑えられる》という点ですよね。
実際に、DIYで材料や道具を買い揃えるために必要な費用を表にまとめてみました。
容量やメーカー、材質などによって値段は異なりますので一つの目安としてください。
※今回の交換事例の、深さ20mを例にして記載しています。
深井戸ポンプ本体(ジェット付き) | 80,000〜200,000円 |
塩ビ管(VP30の場合) | 約40,000円/20m
※井戸ポンプやジェットに適合した口径を選んでください。 |
保温材 | 10,000円程/20m〜 |
接着剤などの消耗品 | 1,000円〜2,000円程度 |
塩ビカッター、ドライバー等の工具 | 2,000円〜3,000円程度 |
井戸ポンプ本体の価格にもよりますが、15〜25万円前後で交換が可能です。
『これらの材料や道具は、ネットショップやホームセンターなどで購入できます。』
※井戸ポンプ本体はホームセンターでの取り扱いは少ないと思います。
(Amazonや楽天市場などでも販売しています。)
自分で井戸ポンプを交換するメリット
- 材料費などだけで済むため費用を抑えられる
- DIYが好きな方は楽しい
自分で井戸ポンプを交換するデメリット
- 失敗すると井戸が使えなくなったり、掘り直す事になる
- 接続が甘かったりすると耐用年数が短くなる恐れがある
- 最低2人は必要
- かなりの重労働
『最悪井戸が使えなくなってしまうリスクがある事も理解した上で、自己責任で交換作業を行ってください。』
結論|井戸ポンプ交換はDIYでも出来る?
結論:交換は不可能ではないが、失敗時のリスクや保証面を考えるとおすすめしない
深井戸ポンプをDIYで交換する事は、不可能ではありません。
しかし、何度も言いますがかなりの重労働。
今回の深井戸ポンプ交換は現場スタッフ2名で行い、施工時間は2時間ほどでした。
ジェット・配管・ポンプの交換全て弊社で行いましたので、施工保証が付けられます。
ジェット式深井戸ポンプは深度30mほどまでで使用されていますが、それよりも深い場合は深井戸水中ポンプが使用されています。
深井戸水中ポンプでは鋼管が使用されている事が多く、塩ビ管とは比べ物にならないくらい重量がありますので、DIYで交換する事はかなり難しくなります。
自分で井戸ポンプを交換した場合、失敗したり取り返しのつかない状況になってしまうリスクがかなり高く、配管の接続部分が甘かったりすると、もう一度配管を抜いてやり直す必要が出てきます。
DIYで交換すると費用が抑えられるというメリットはありますが、深井戸ポンプの耐用年数10年~15年間不具合なく使い続ける事を考えると、保証が付いている業者にお願いする方がコスパも良いのでは?・・・と専門業者は考えますが、迷いますよね。
読んで下さりありがとう御座いました。
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