エコキュートの価格・寿命・デメリットは?使用可能な入浴剤はある?【エコキュートを徹底解説】
- これから家を建てるんだけど、オール電化にしたい
- ガス代節約のためエコキュートに交換する事を検討している
- エコキュートを設置したけど、エコキュートって何なの?
- エコキュートに使っちゃいけない入浴剤があるって本当?
などなど。
『この記事では、エコキュートについて徹底解説!エコキュートについて詳しく知りたいアナタにオススメです。』
目次
エコキュートってなに?
名前くらいは聞いた事があるけど、そもそもエコキュートって何?と思っている方もいらっしゃいますよね。
簡単に言うと、エコキュートは給湯器の一種。
エコキュートとは?
エコキュート(英: EcoCute)とは、ヒートポンプ技術を利用し空気の熱で湯を沸かすことができる電気給湯機のうち、冷媒として、フロンではなく二酸化炭素を使用している機種の商品名である。
引用元:Wikipedia
【電気給湯器】や【ヒートポンプ給湯器】と言われています。
電気給湯器は以前から存在していましたが、エコキュートは厳密に言うと電気給湯器とは仕組みが少し異なります。
従来の電気給湯器は、電力のみで加熱する仕組み。
一方エコキュートは空気中にある熱を利用して加熱するため、消費電力が従来の電気給湯器の3分の1で済むという特徴があります。
仕組みをわかりやすく解説
エコキュートは、エアコンの室外機に似た形をしている”ヒートポンプユニット”と、お湯を溜めておく”貯湯タンクユニット”で1セット。
ヒートポンプユニットで取り込んだ、空気中にある熱を熱交換器で冷媒に集め圧縮。
圧縮しさらに高温にさせた冷媒の熱によって、お湯を沸かすという仕組みになっています。
さらに分かりやすく言うと…
①冷たい状態の冷媒(二酸化炭素)が空気中の熱を吸収
↓
②熱を吸収した冷媒を圧縮
↓
③圧縮する事で分子同士がぶつかりあい熱エネルギーが大きくなって、温度がさらに高温に
↓
④圧縮し高温になった冷媒の熱を水に伝えお湯にする
↓
⑤膨張弁によって冷媒を再度冷たい状態にし、①に戻る
作られたお湯は、断熱性の高い貯湯タンクに溜まっていく仕組みになっています。
『空気の熱を利用するエコキュートは、外気温が高いほど省エネルギーでお湯を沸かせる仕組みになっています。』
価格|エコキュートの種類と相場
エコキュート設置や交換で気になるのが、価格ですよね。
エコキュートは大型家電の部類に入る事もあり、決して安い物ではありません。
設置する施工は職人1人では行えず比較的大掛かりな工事になるため、工事費用だけでも10万〜15万円程度が相場になっています。
また、エコキュート本体は容量やスペックによって価格はピンきりで、スペックの種類は大きく別けると下記の3つ。
- 給湯専用
- セミオート
- フルオート
この3種類は、おふろへの給湯方法によって別けられています。
給湯専用
シンプルな構造で、手動で蛇口を開きお風呂にお湯をはります。
希望の水位までお湯が溜まったら、手動で蛇口を閉める必要があります。
追い焚き機能無しタイプ。
セミオート
リモコンのボタンを押すだけで、自動でお湯はりをしてくれます。
各メーカーによって機能は異なりますが、基本的に追い焚きができません。
フルオート
リモコンのボタンを押すだけで、お湯はり、追い焚き、たし湯など全自動でコントロールが可能。
また、設定した温度で保温もしてくれます。
エコキュートの容量は195L〜560Lで、使用頻度や家族の人数によって選択可能。
容量や貯湯タンクの形などによっても金額が異なってきます。
エコキュート各メーカーの希望小売価格では100万円を超える機種もありますが、業者や販売店舗によっては割引されている場合が多く、定価より安くなっている事がほとんどです。
本体価格のみの相場は、20万円前後〜と思っておいて良いかと思います。
『一般的なご家庭に設置するエコキュートであれば、40〜75万円程度が本体+設置費用の相場になっています。』
特殊タイプのエコキュート機種
エコキュートには、一般地用と特殊タイプ機種があります。
特殊タイプは、下記の3つ。
井戸水対応機種
ご自宅で井戸水をご使用の場合、基本的に通常のエコキュートは設置できません。
井戸水にはカルシウムが豊富に含まれていて、さらには水道水には含まれていない成分も含まれています。
それらの成分がエコキュート内部やフィルターで詰まり、最終的には目詰まりにより故障してしまう可能性大。
そのため、井戸水での使用は不可となっています。
最近では井戸水対応機種も販売されていますので、設置する際は業者にご相談ください。
一般地用エコキュートと比較すると、10〜15万円高額になります。
塩害対応機種
海の近くにお住まいの方は、塩によるサビを防ぐため防錆加工が施された塩害対応機種がオススメ。
特に、海から1km圏内にお住まいの場合はサビが発生する事で劣化も早まってしまうため、塩害対応機種にしておく事で、長くご使用になれます。
塩害対応機種は、一般地用エコキュートより1〜2万円程度高額になります。
寒冷地対応機種
氷点下10度以下になる地域にお住まいの方は、寒冷地対応機種を設置しなければいけません。
寒冷地で通常のエコキュートを設置した場合、配管内部で水が凍結し配管破裂を招く恐れがあるためです。
一般地用エコキュートより2万円程度高額になります。
『ご家族の人数やお住まいの地域環境などによって、機種を選ぶようにしてくださいね。』
エコキュートを設置する時に補助金が貰える?
1997年に採択された京都議定書に基づいて、日本国内でも温室効果ガスの排出量削減が義務付けられました。
引用元:京都議定書の概要
そこで、温室効果ガス削減目標を達成するため、環境性能に優れているエコキュートを早期普及させるため、補助金制度が設けられました。
しかし、国が実施していたエコキュート補助金制度は平成22年に終了。
現在(2021年現在)では、自治体によって補助金制度があり、お住まいの地域や条件によっては補助金を受け取る事が可能となっています。
『お住まいの地域の地方自治体に、補助金の有無を問い合わせてみてくださいね。』
寿命はどのくらい?
決して安くはないエコキュート。
どのくらいの期間問題なく使用できるのか、気になりますよね?
国が定めているエコキュートの法定耐用年数は、6年とされています。
『6年なんて短過ぎない?!』と思いますよね。
これは、あくまで”法定耐用年数”で、実際にエコキュートで不具合が発生したり交換が必要になってしまうのは、施工から10〜15年を経過してから。
お手入れやメンテナンスをしっかり行っておけば、それだけ長く使用できる可能性が高くなります。
『エコキュートの平均的な寿命は、10〜15年と覚えておくと良いですよ。』
メリットデメリット
エコキュートは、環境性能にも優れ省エネ効果も高いため、最近では導入しているご家庭もかなり多くなってきています。
そこで、この章ではエコキュートのメリット・デメリットについてご紹介していきたいと思います。
メリット
・電気代が安い深夜電力を利用しお湯を作るため光熱費が安くなる
・CO2削減で環境に優しい
・緊急時や断水時にタンクの水を使用できる
・夏は外気温が高くなるため光熱費が安くなる
・故障してもガス給湯器のように一酸化炭素が発生する心配が無い
エコキュートの最大の魅力は、光熱費を安く抑えられるという点。
ガスだけでお湯を沸かすガス給湯器や、電気だけでお湯を沸かす電気温水器などと比較すると、エコキュートの方が光熱費は安くなります。
デメリット
・初期費用が高額
・使用方法によってはお湯切れしてしまうことがある
・お湯を作る際、低周波騒音が発生する可能性がある
・冬は外気温が下がるため光熱費が高くなる
・使用できる入浴剤に制限がある
エコキュートで問題になりがちなのが、低周波騒音問題。
お湯を作る際、ヒートポンプユニットから発生する低周波によって、設置状況によっては騒音問題になってしまいます。
寝室近くやお隣さんの近くには設置しないなど、設置場所を工夫しておくと◎
画像引用元:Amazon
また、このような防音シートをヒートポンプユニットに貼り付けて、騒音を軽減させる事も可能です。
(注)防音シートは製品によって、一度貼り付けるとなかなか剥がしにくいという点をご理解した上でご使用ください。
『入浴剤の制限については、次の章でさらに詳しくご紹介します。』
使用可能な入浴剤一覧
なぜ、エコキュートは使用可能な入浴剤に制限があるのか?
それは、セミオートタイプやフルオートタイプのエコキュートは、バスタブと直接繋がっているため。
”追い焚き”や”自動保温”機能を使用するとお湯が循環するため、入浴剤によってはフィルター部分で目詰まりを起こしエコキュートの故障を招いてしまう恐れがあります。
また、バスソルトのような塩分を含んだ入浴剤や、酸、アルカリ成分などが含まれた入浴剤を使用すると、金属部分にサビが発生したり、酸化し腐食してしまう事も。
しかし、全ての入浴剤が使用できないというわけではありません。
各メーカーの、使用可能な入浴剤は下記の通り↓
ダイキン
引用元:ダイキンHP
ダイキンのエコキュートは、にごり湯タイプの入浴剤も使用可。
酸、アルカリ、硫黄、塩、固形物を含む生薬、とろみ成分を含む入浴剤は使用NGです。
パナソニック
引用元:パナソニックHP
パナソニックのエコキュートは、バスバブルや石鹸も使用不可となります。
また、入浴剤を使用する時は”自動配管洗浄”機能を必ず【入】にしておいてください。
給湯専用タイプやセミオートタイプは、全ての入浴剤を使用できます。
コロナ
引用元:コロナHP
コロナのエコキュートで使用可能なのは、バブ、バスクリン、バスロマンの3種類。
にごり湯系の入浴剤も使用NGです。
三菱
引用元:三菱HP
三菱のエコキュートは、にごり系、シリカパウダー含有系もNG。
製造年によっても使用できる物とできない物が別れていますので、詳細はご使用になられているエコキュートの説明書も含めご確認ください。
東芝
引用元:東芝HP
東芝のエコキュートは、バブ、マイクロバブ、バスクリン、きき湯、バスロマンの使用が可能。
にごり系はNGです。
日立
・バブ
・バブ 和漢ごこち
・バスクリン
・バスクリンクール
・きき湯
・きき湯アロマリズム
・バスロマン
・バスロマンクール
日立のエコキュートで使用可能なのは、上記の入浴剤。
にごり系などはNGです。
詳しくはコチラをご覧ください。
『エコキュートを長く使用するためにも、推奨されていない入浴剤は使用しないようにしてください。』
電気代はどのくらいかかる?
エコキュートの最大のメリットは、先述した通り【光熱費が安くなる】という点です。
使用頻度や設置環境によっても異なりますが、一般地のエコキュート使用による電気代は年間で18,000円〜30,000円程度が相場となっています。
月々で換算すると、2,000円〜3,000円程度。
ガス給湯器と比較すると、60〜70%ランニングコストをカットする事ができます。
電気代を安く抑えるコツ
ただ単純に【エコキュートを設置すれば、電気代が安くなる!】というわけではありません。
まず、1番重要なのは電気代の”料金プラン”です。
オール電化住宅向けのプランが1番お得なプランになっている事がほとんどですが、お仕事柄昼夜が逆転している方には不向きなケースも。
一般的なオール電化住宅向けのプランは、深夜に使用する電気代が安くなる設定になっているため、寝ている間に安い電力でお湯を作る事が可能になっています。
しかし、昼夜逆転したライフスタイルの方は、深夜にお湯を使用する頻度が高くなり、電気代が高い日中にお湯を作るため電気代が高くなってしまいます。
そのため、ご自身のライフスタイルに合ったプランを選ぶ事が重要です。
『エコキュート本体にも、電気代を節約するための機能が搭載されている場合がありますので、うまく活用してみてくださいね。』
エコキュートの寿命を伸ばすためには?
エコキュートは決して安い物ではありません。
そのため、設置したからには少しでも長く、トラブルが生じる事なく使用していきたいですよね。
エコキュートの寿命を縮めてしまわないためにも、普段のお手入れや定期点検が重要なポイントになってきます。
水抜き
普段ご自身でお手入れをする際に取り入れていただきたのが、水抜き。
年に2〜3回の頻度で、タンク内の水を抜いてタンク底部分に蓄積している汚れを押し流す効果があります。
汚れを流しておく事で、フィルターの目詰まりなどを防ぎます。
※熱いお湯が出てくる場合がありますので、水抜きを行う際は火傷注意。
水抜き方法は、ご使用になっているエコキュートの説明書やメーカーHPなどをご覧ください。
定期点検
エコキュートを長く使用していくために1番大切なのが、定期点検になります。
3年に1回の頻度で業者による点検を受けるのがオススメで、使用期間が10年を過ぎている場合は毎年受けるのがオススメです。
業者による点検を受けた際に、劣化していたり破損しているパーツが見つかった場合、パーツ交換をしてもらえるので、エコキュート本体を長く使用できる事に繋がります。
これは、1箇所で劣化が始まり動作不良などが生じると、他のパーツにも負荷がかかり故障箇所が増えてしまうためです。
エコキュートの場合、大掛かりな施工になるという点と費用も高額なため、完全に故障してしまっても即日・当日に交換してもらえるとは限りません。
完全に壊れてしまうと、当然お風呂にも入れずお湯も使用不可。
冬は特に1〜2日だけでもお湯が使えないと、とても不便になってしまいます。
そのため、定期的にしっかりと点検を受けるようにしておくと安心ですよ。
『定期的に点検を受けておけば、不具合の早期発見も可能となります。』
まとめ
エコキュートは初期費用がそれなりに必要となりますが、ランニングコストを抑えられるというメリットがあります。
これから、さらにオール電化住宅は増えていくと思いますので、エコキュートについて正しい知識を得て、長く不具合なく安全にご使用いただければと思います。