トイレの詰まりは重曹やクエン酸で取れるの?水道業者のプロの見解
「トイレつまりはクエン酸や重曹で取れる!」
と聞いたことはありませんか?
ネットで調べる(Googleで検索)と、『トイレつまり』にスペースを入れると次の検索ワードとして『重曹』が出てくる方もいらっしゃると思います。
『この記事では、重曹やクエン酸のトイレつまりへの効果についてまとめました。』
(投稿:2022/06/20)
(追記:2022/09/18)
(追記:2022/10/17)
目次
トイレつまりに重曹やクエン酸は効く?
重曹とクエン酸は、トイレつまりに効果があるかというと
『トイレの詰まり解消には良いかも?だけど効果が薄い』
というのが、結論になります。
そもそも、クエン酸や重曹を家に常備されてる方は『キッチンや換気扇・冷蔵庫』などのキッチン回り含め『掃除道具』として家に準備をされてる方が多いのではないでしょうか。
こちらのサイト↓には、清拭に重曹を用いたときの効果としてまとめられていました。
重曹を湯に溶解しその湯を用いて清拭(重曹清拭)を行った時の洗浄効果と皮膚機能への影響を明らかにすることである。
重曹とクエン酸は、身体に無害で安心という点では良い商品で、日常的に使用するのには安心できますよね。
しかし、水回りのプロの見解としては『重曹+クエン酸』という組み合わせは、
『トイレの詰まりを解消する為に利用する。』
のではなく『トイレを詰まらせないために、定期的な清掃として利用する』のが正しいのではないかな?と考えます。
『つまりが悪化した状態の場合、重曹とクエン酸で解消する事は難しいかと思います。』
トイレ詰りに重曹とクエン酸|どんな詰まりに向いてるの?
トイレがつまってしまったら、自分でなんとかしたい!と思う方も多くいらっしゃるかと思います。
自分でトイレつまりを解消してもOKなケースというのは、
「トイレに流しても良い物を流してつまった時だけ」です。
トイレに流しても良い物というのは、基本的にトイレットペーパーと排泄物のみ。
オムツ、生理用品、お肉の骨、みかんの皮などの食べ物、トイレットペーパーの芯、といった異物を流し詰まらせてしまった場合は、物理的に除去する必要があるため、重曹やクエン酸を使用してもつまりは解消されません。
重曹やクエン酸でつまり解消の効果に期待ができる症状は、
”レバーを回すと便器内の水位が上がるが、少しずつ流れていき時間を置くと水位が元に戻る”といった、軽度のつまりの時のみ。
『トイレを普通に使っていただけで、変な物は流していない。』
というお客様も多くいらっしゃいますが、ご家族で住まわれている方、特に小さなお子様がいらっしゃるご家庭では異物を流してしまった可能性も疑ってみてくださいね。
『異物を流してしまった場合は、レバーを何度も回したりスッポンを使用する行為は厳禁です。』
トイレの詰まりに適している重曹とクエン酸は何処で買う?
重曹やクエン酸の商品説明の欄に”トイレつまりに最適”という記載は、基本的にありません。
”清掃用”としての使用用途などが記載してある事が、ほとんど。
重曹もクエン酸も、100円ショップ、ドラッグストア、ホームセンター、日用品が豊富に取り揃えられているスーパーなどで購入可能です。
どちらも、液体タイプ(スプレー容器入り)も販売されていますが、トイレつまりに使用する場合、トイレの水で濃度が薄まってしまうため粉末タイプの購入がオススメ。
また、食用のベーキングパウダーにも重曹・クエン酸成分は入っていますが、清掃用のものより純度が低い為か効果は下がります。
『わざわざ買いに行くのが面倒』
『以前お菓子作りで使ったベーキングパウダーが残っている。』
という理由で、食用の重曹をトイレつまりに使いたいという方もいらっしゃるかと思います。
実際、私も食用重曹の効果が気になったため、自宅のトイレつまりに使用してみましたが効果を得られませんでした。
※賞味期限が切れた物を使用しましたが、トイレつまりへの効果には無関係だと思われます。
『異物を流してしまった場合は、レバーを何度も回したりスッポンを使用する行為は厳禁です。』
重曹とクエン酸を使ってトイレの詰まり解消の手順と注意点
重曹とクエン酸を使用しトイレつまりを解消させるために必要な物・手順・注意点をまとめました。
重曹・クエン酸は、それぞれ人体に無害と言われてますので、多少分量を間違ってしまったとしても大きな問題にはなりません。
しかし、酸性・アルカリ性とそれぞれ逆の性質を持っており、化学反応を起こし中和させトイレの詰まりを解消させる方法ですので、注意点の部分はしっかりお読みください。
重曹とクエン酸を使うトイレ詰まり解消法の準備
【洋・和便器のトイレ詰まり】
※便器半分くらいまでお湯(3ℓ程度)を足すのを前提とします
※和便器の場合はお湯(2ℓ程度)を足すのを前提とします
準備する物
▶重曹:1リットルの水に対し50g(大さじ山盛り2杯)
(洋便器:150g/和便器:100g)
▶クエン酸:1リットルの水に対し25g(大さじ山盛り1杯)
(洋便器:75g/和便器50g)
▶お湯:便器半分程度の量
※50度程度のお湯にしてください
▶放置時間:1時間程度
お湯は、給湯器で50度に設定した物を使用する方法もありますが、設定ができなかったり分からない場合は、半分の量を沸騰させ、残り半分は水を足す。くらいの感覚でOK。
手で触った時に、「お風呂よりちょっと熱いかな?でも、手で触れる。」程度の温度が50度前後になります。
重曹とクエン酸を使う解消法の注意点
トイレが完全につまり、便器内いっぱいに水が溜まり水位が下がる様子が無い
▶重曹&クエン酸を使用する前に、柄杓やバケツなどを使って便器内の水を出す作業から行ってください。
トイレの詰まりが、箱ティッシュやナプキン等流してはいけない物が詰まった可能性がある
▶重曹とクエン酸では解消しないどころか、つまりの状況をさらに悪くしてしまいます。
直ぐに業者の手配を検討してください。
注意ポイント
・便器内の水位は普通の状態にしておく
・換気扇を回す、あるいは窓を開け換気をした状態で行う
・トイレのドアも開けておく
重曹とクエン酸を混ぜると化学反応で泡が発生し、便器内の水かさが一瞬増加。
科学反応を起こさせるためにお湯を足す必要もありますので、便器内の水(封水)が”正常時の水位”である事を確認してから行うようにしてください。
また、重曹とクエン酸を混ぜると二酸化炭素が発生しますので、必ず換気をした状態で行ってください。
【重曹の油汚れに対する洗浄力の検討】
人にも環境にもやさしい台所や住まいの洗浄剤として、重曹が普及し始めている。被服および繊維製品では重曹使用によるしみ抜きや部分洗いの効果が謳われている。著者らは人工汚染布を用い重曹の洗浄力が高いことを報告
熱湯はNG
重曹とクエン酸を使用しトイレつまりを解消させるためには、お湯の使用が必須。
しかし、お湯と言っても使用するのは50度前後のお湯。
通常水を使う場所であるトイレや洗濯機などは、基本的に熱湯に耐えられる構造として作られていません。
そのため、陶器製(樹脂製含む)の便器に熱湯を注いでしまうと、ヒビや割れが生じるなど破損してしまう恐れがあります。
食洗器に対応していない食器を食洗器で洗うと、ヒビが入ったり欠けたりしますよね。
それと同じでトイレに熱湯を注ぐと、便器が脆くなってしまい修繕費用などかかってしまいますので、熱湯は使わないようにしてくださいね。
『熱湯がダメなら、別に水でも良いんじゃないの?』
と、思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、重曹は水で溶かしても効果を最大限に発揮する事ができません。
重曹は熱でph濃度を下げて酸性を強める必要があり、さらに水に溶けにくい性質のためお湯でしっかりと溶かすという事が重要になります。
また、放置時間にもポイントがあり、必ず60分程度は放置するようにしてください。
重曹利用に関する情報は、重曹の洗浄性を肯定的するものが大部分を占めており、その根拠として軟水化が挙げられていることが分かった。そこで、炭酸水素ナトリウムの軟水化作用について実験的に検証した結果、有効な軟水化には30~60分間以上の時間が必要
トイレつまりに必要な
・水を軟水化させる
・つまりの原因になっている便や尿石を中和作用により分解させる
という効果を得るためには、お湯+放置時間60分が必要となりますので、ご注意ください。
重曹とクエン酸を使うトイレつまり解消法の作業手順
1:便器の水(封水)の中に重曹を入れる
2:便器の水(封水)の中にクエン酸を入れる
3:お湯を注ぐ
4:60分放置する
5:水をしっかり流す
基本的には、上記の手順で行えばOK。
さらに、入念に行いたい場合は作業を行う前に
1:止水栓を閉める(タンク内の水を抜くなど)
2:コンセント(ウォシュレットなどの)を抜く
3:上記の1〜5の手順を行う
などもして行うと、より良いとされています。
トイレの止水栓は基本的に常時開いた状態になっていて、いつでも水を流せるようになっています。
止水栓を閉めレバーを回すとタンク内の水が空になるため、便器内に水が流れていかない状態を作る事が可能になります。
トイレも詰まっているけど、タンクから常習的にチョロチョロと水が漏れている・・・という方は(タンクの修理も必要ですが)タンクの水を全て抜き、止水栓を閉めて作業をしないと重曹とクエン酸の効果が薄れてしまいます。
また、温水洗浄便座などのコンセントを抜いておくのは、感電の恐れがあるためです。
『感電させないよう、注意を払い作業中には水を給水させない。』という方は、そのままの作業でもOK。
(面倒ですよね…笑※ですが安全のためには、全て自己責任でお願いします。)
『以上の注意点に気を付けながら、重曹とクエン酸を使ってみてくださいね。』
トイレにつまったバリウムは重曹とクエン酸で流せる?
健康診断などでバリウム検査を行った後、バリウムが混ざった便をトイレに流すと、バリウムが便器内に残留してしまうケースが少なくありません。
便器に付着したバリウムは、少量であれば1〜2週間で少しずつ流れていってくれるため、放置していてもあまり問題はありません。
水が濁るほどのバリウムが付着してしまった場合は、固着しているバリウムにトイレットペーパーや排泄物が引っかかりトイレつまりの原因になってしまう事も。
トイレットペーパーなどによる詰まり同様、重曹とクエン酸でバリウムを除去できないかな?
と考える方もいらっしゃるかと思います。
重曹+クエン酸は、二酸化炭素の泡によって汚れを浮かせたり、トイレットペーパーをふやかしやすくする働きはあります。
しかし、バリウムは鉱物でできていて重さが水の約3.5倍。
軽度の汚れ程度であれば浮かせる事は可能でも、重さのあるバリウムを浮かせるほどのパワーは残念ながら重曹+クエン酸にはありません。
トイレに付着してしまったバリウムを、自宅にある物でなんとか除去したい!という場合は、こちらの記事で詳しく紹介しているので参考になさってください↓
『バリウムの影響で汚水が上がってくるほどのトイレつまりが発生した場合は、業者にご相談ください。』
トイレ詰まりに重曹とクエン酸ってどう?まとめ
重曹やクエン酸を販売している公式サイトなどで、成分含めて色々調べてみましたが”トイレ詰まり解消のために使う”のではなく、”トイレを詰まらせないために日常的な清掃に使う”に適しているのではないかと思います。
重曹って何だろう?クエン酸って何だろう?
引用元:木曽路物産株式会社ホームページ
クエン酸を使ってお掃除
引用元:共立食品株式会社
軽度のトイレつまりであれば、重曹とクエン酸で解消できる可能性もゼロではありません。
しかし、トイレつまりを自宅にある物で解消させたい!と考える場合は、ペットボトル、ラップ、ゴミ袋、タオルなどを使用した詰まり解消方法の方がより高い効果を感じる事ができました。
※詳細についてはこちらの記事をご覧ください↓
しかし、自宅にいつもあるクエン酸や重曹程度でトイレつまりが解消できるかどうかは、実際に試してみたいですよね。
特に賃貸にお住まいの方は、わざわざ不動産屋さんに連絡するのも抵抗を感じてしまう方もいらっしゃるかと思います。
色々な方法を試して、少しでも早くトイレの詰まり解消のお役に立てると幸いです